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新しい孤独

春の夕暮れはやけにざわめく
ビニール袋 空にはためく 色めく
今日も明日も明後日も
ずっと無音の目黒区
俳句
夜のない長いレイヴ
僕たちがもらったドラッグ 孤独
僕らのためのトラック
緊張しすぎているライヴ

 

次のハイハット 待つラッパー
葉っぱ なんてもう辞めなよ
それでも どこか他人事
僕と 君とあなたと彼らの不安の種を育てる人
ぼくを評価する単語と 傷口と
実感のない痛みと 病名のない病と

 

子犬を抱いてる怖い人
もう死んじゃった言葉の使徒
港の飲めないチューハイと
ぼくの小規模な失敗を
ラジオを抱いた浮浪者のナップサック
小さな夢と約束
おおきな嘘の話と何かを叫んでる人


微熱を孕んだにきびみたいに
きみが居ない朝の訪れに
痛ましいタバコの写真に
感じた言葉を削がないように
ヘッドフォンかけてる多重録音
朝焼けのアンプが熱い
とうとう最後まで行けなかった幼稚園の劇

 

夏の写真のアルバムの影が
心のどこかに落とす光が
花火 止まった絵を弄び
可愛らしい君の歯ならび
蝉と遠ざかるトンネルに
響き渡るシンクの音に
シンクロ 未来 影の遊び
帰り道のないおぼろげな波

 

歩道のはしの敷石の上を一直線に歩く 歩く
距離感つかまぬ近眼におのれを託す その一身に
まなざしのない二遊間に
すれ違いざまの一瞬に
背筋をかすめる恐怖と恥
ゆがんだヒトの形

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ねえ どんな気持ちなのかな?
僕らはいつも泣き笑いだ
今日も何かを忘れ去った
明日も世界は変わらないが
ぬるい缶ジュースの中身と
失うことへの恐怖と
鼻先を かすめてく感情
さよなら あらゆる言葉よ

 

警棒持ってるお巡りさん
僕らの罪をさばいてくれ
わかりあうのは無理だなんて
そんなのとっくに知ってるよ
それでも僕らはやめないよ
淡く感覚だけ見ているよ
それでも僕らはやめないよ
淡く感覚だけ見ているよ
ねえ どんな気持ちなのかな?
僕らはいつも泣き笑いだ
今日も何かを忘れ去った
明日も世界は変わらないが
ぬるい缶ジュースの中身と
失うことへの恐怖と
鼻先を かすめてく表情と
さよなら あらゆる言葉よ

 

窓は教室を引き裂いて


思い出や失敗や恥とか青さとか憎しみとかあらゆる僕の欠片が
並べた言葉に乱反射している
詩を書くなんて簡単だ
目の前にある耳障りな言葉から順番に皆殺しにしていけばいい
ふと止めた手にかかっているその死体が詩だ

 

海がすべてを飲み込んで
昼が来なくなった世界で
その真ん中に浮かんでいる僕は
衝撃波で大気圏の失くなった空を
指差して
空を
空を
指差して
空を
指差して

 

窓がこの教室を引き裂いている
吐き気を催すような空気の中で
大人にも子どもにもなれない肉が
お互いにあざむきあったり傷つけあったりしていて
僕は窓が好きだった
それは空間を
引き裂いてめちゃくちゃにできる傷口だった
そこから吹き込んだ
冷たい風が
僕ら全員の鼓膜を突き破って
僕らお互い笑いあって


来ることが前提になっている明日を僕らが忌避するのは、
来ることが前提になっているからに過ぎない
来ることが前提になっている明日が来なかったとき、
僕らに許されるのは安堵か それとも後悔か

 



どこか遠くへ連れて行って

僕は坂を下ってゆく風の逃げ道を探すばかりでそこに自明を見出す強度があっただろうか?

みんなが無意味な意味をその手に載せて、暮れゆく街の断末魔に聴こえる喧騒を駆け抜けてゆくとき、僕もまた大量の空き缶を抱きしめて寒い部屋で震えていた  その缶の一つ一つには日付が刻印されている  消費期限は切れていた

発煙筒を両手に持って、それを闇に掲げて言葉にもならない叫びを上げながら誰もいなくなった街をひたすら走っていた  誰が僕の叫びを聞いたか?  打ち捨てられた倉庫に並ぶ段ボールが静寂の中にうるさく重なり合って、街はそれに似ていた  未来はとても苦かった  過去はすごく腐っていた  僕が「あ」と言ったとき君は何て返すだろう?  僕の「あ」と君の未だ見ぬ返事の間にだけ光がある  それはとてつもなく大きくて、すべての色彩を抱いたまま僕の心臓を素手で掴んで無理矢理に揺さぶりかけて動かしてくるんだよ

 

昨日は青くなれなかった

昨日は青くなれなかった

 

ひどく削られてちびた鉛筆の先端が、夜と朝の境界線を目隠ししたままでひた走る。目を閉じているはずなのに、いつか未来の縁からこぼれ落ちた不可能性の予感をふたつの視神経の奥に感じていて  あなたは生きているのか死んでいるのかもわからないとも思っている。

 

 僕の部屋の外では誰もが殺しあっている  あらゆる方法で、その手に何かを感じながら、喉の奥に毛玉を押し込んで、殺したり殺されたりしていて、それはとてもとても幸福なことだと思う  親子が殺しあう  恋人たちが殺しあう  友達同士で殺しあう  先生と生徒が殺しあう  名前も知らない人たちが殺しあう  僕は窓のふちに座って、冬の鋭い隙間風を指先に感じながら、ただそれを見て叫んでいる  僕も仲間に入れてくれと叫んでいる  死ぬことが本当に怖いと思っているのに、僕の肉を素手で引きちぎってくれと叫んでいる  

 

走り去った窓際の静かな断末魔のような光の中で、僕はひたすらに震えている  君が何かを言おうとするまでの数秒の沈黙がチューインガムのように引き延ばされて、今にも断ち切れそうに白く褪せている  まだみぬ言葉を嫌がるように身体をよじらせてそこで遊び続けられたならあなたは生きている   僕はずっとそこに立ち止まるんだ

 

 

 

 

 

凶暴なやるせなさが座り込む

嫌なことが起きて、奔走して疲れて、また何か些細な喜びがあって、またつらいことが起きて、必死になって耐えて、また少し良いことが起きて、永遠に飴とムチを与えられるだけが生きるということなんだろうか

飴があるだけマシだとは思わない  苦しみは喜びがあって成り立つからだ  僕らが心の底から希求している喜びは、僕らの最大の恐怖をも与えてくれる

疲れてしまった  あまりに現実感が欠けていて、生きている感じがしないよ  金魚鉢の中を泳いでいる自分を見てるみたいで最もあるべきここには自分が感じられないよ

ただ寂しさと、光への飢え、苦しみ、苛立ち  ひたすらに凶暴なやるせなさが床の間に座り込んでいる  

心や身体は疲れてしまう  痛みを感じるのには体力がいるらしい  そのうち何も感じなくなったら生きるのをやめようと思った  

煙草を吸ってこようかな  これが気分転換になったらいいな  そう思っているのも、実際そうはならないと思う自分をごまかしてるだけだっていうこと、そんなの知ってるよ

煙草は生活の句読点だと言う  だとすれば僕の生活はあまりにきれぎれで、吃音のようだ

すごく孤独で、他人の目の中にいる自分が怖い ずっと手を握っていてほしい 

 

 

石井聰互 ”水の中の八月”

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石井聰互 ”水の中の八月”をみた。
本作は非現実感やサイケデリックという言葉で表現されることが多いようだがその感覚について少しばかり考察した。
個人的な思想としては、サイケデリックという表現には二種類の意味合いがある。一つはドラッグの効果によって歪んだ現実が魅せる非現実を指す。もう片方が意味するのはその歪んだ現実の感覚である。そのトリガーを引くのはドラッグではなく、現実そのもの、つまり我々の日常である。この場合のサイケデリックは端的に言えば現実に垣間見える非現実とでも言えようか。それは既視感や違和感によってトリガーされる。
この映画に於けるサイケデリックとは、明らかに後者である。劇中の映像は幼年期にまだ汚れていない瞳のレンズで観る色、物心つく前に観た色がそのままフィルムに焼き付いているような感覚を抱かせる。また、僕らの日常にもある、現実に垣間見える非現実、例とするならば木漏れ日や陽炎だろうか。それらがフラッシュバックを連想させる畳み掛けるようなカットで我々の中枢神経に作用してくる。
また、本作を観て真っ先に僕が想起したのはbloodthirsty butchersの8月(alternate ver.)だった。同曲はアルバム ”kocorono”に収録された同名曲の別ミックスである。アブストラクトなノイズの音像から始まり、あの有名なスネアの鳴るイントロから繋がるのだが1st ヴァースの後、原曲ではギターソロに当たる部分で全体に強いフィルターがかかる。それはまるで水に潜った時に鼻がくすんで耳に膜がかかるような、大粒の泡の音と酷似している。水の中の八月とは言い得て妙だと感じる。また、フロントマンである吉村秀樹は同曲を指して「あれが僕にとってのサイケデリック」であると説明している。水面や陽炎に映る都市がゆらゆらと歪む映像に僕は両者に共通する表現しようのない揺れる想いを感じてならなかった。

おれはまるで身動きが取れなくて、怖くて目を見開いたままずっと立ち竦んでいたのに、なぜどうして何者もおれの目の中に立ち止まってくれないんだ
おれはそうするに足らない人間だ
一切は過ぎゆく おれたちはあまりに無力で、音が小さいのがあんまりに心細いんだ 不安なんだ 叫んでも走っても、鼓膜が破れても世界が揺れていても何も聞こえない 誰かがきみの名前を呼ぶのをきみは心の底から願っている 眼が痛いんだ 無意味な涙が手に落ちても まだ痛いんだよ


09/08 01:50


高校の時に逆戻りしている
生活はつらく、みんなからも疎外されていて昼休みも一人で座っている
理科の授業中、気に入らない教師の前で自分が撮った写真を出して見ているとそいつに取り上げられ、お前の写真はつまらないと言われる
次第に現実が歪んでくる
銀髪の少女が校庭に立っているのを俺だけが見るようになった
じきに俺は完全に壊れたのか、教室の中で空中浮遊を始め、唖然とするクラスメイトたちを余所に外へ飛び出す
外はベトナムかどこかの桃源郷のようだったが、村を彩っていたのは人肉だった 木の根元から手首が等間隔に突き出し、腐った顔がまた等間隔に並んでいる 村の外れには壊れかかった檻があって、圧政者はそこで発狂している
村を出ると鎮守の森のようだった
荘厳で高い樹々に触れながら浮遊している 樹々たちは個性を持っていて、つがいで結婚を求めてくる 僕が吟味していると悲しむ者もいた 空を飛んでいるとふらつくが、誰かが足の裏を押し上げてくれている 
森を抜けると元の教室だった
クラスメイトの前で浮遊したまま、前から気に入らなかった理科の教師の頭上から硫酸をかけた 奴は痛みに発狂しながら追いかけてくる 僕の足首にそいつの手がかかる 目がさめる
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