テレビをつけて

なんのスポンサーもついていない
なまえのない番組で
なまえのないタレントたちが
なまえのないゲームをしている
それを見て、僕は涙を流しながら笑っているここには何かあるのかと問うとき何かがあることを君はその眼で確かめることができるかいそこにはただ何もないことがあるとしたらそれは矛盾しているとは思わないかあなたが忘れていったスカーフが夜の電柱に巻きついてまだ冷たい初夏の風にさらされて泣いていた忘れたくない気持ちを忘れていくのは悲しいことだけどその悲しみすらじきに忘れて毎日おなじ明日を考えながら切ないほどにつまらない新しいことばかり頭に詰め込んでゆく僕らはすべて忘れる。僕らはすべて忘れる。いつか。いつか。いつか。どんなに崇高な涙もその瞬間を過ぎれば渇いてどこかへ消えていってしまうそれはとても寂しくて鼻の奥がすごくつきつきと痛くて僕は憶えることをやめてしまった明日になればまた1日がやってくるあなたのその透きとおった瞳のなかで僕は立ち止まっていられるのかな