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みなかし

今この瞬間に感じているその悲しみを君は忘れる  いつか確実に
それは明日の朝かもしれない
間違い探しに気付くようなゆるやかさの中に目を覚まして、その悲しみは昨夜に置き去りにされる
もしくは、ふと外に出て煙草を一本溶かしたときから部屋に戻って昨日の夕飯を温めなおすときまでに、生暖かい風が枯れ葉をかすめとってゆくように、誰にも気付かれることなく薄れてゆくのかもしれない

それは永遠に戻らない

失いたいものなど何一つなかった
僕はいつか、近い将来に(ひょっとすると数秒後に)奪われることが確定している花束を胸に抱いて、燃え尽きた廃ビルの海をよろよろと歩いている
何者も僕からこの花を奪う資格はないというのに
あるいはこの花が自ら死んでゆくのを僕は苦く微笑みながら、心が冷たく淀んでいくのを知りながら、眺めていたら唇が縫いつけられてしまった

悲しみですら僕の物にならないのならもう何もいらない  期待させないでほしい 僕は立ち止まりたい  それを抱きしめて立ち止まりたい
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