どこか遠くへ連れて行って

僕は坂を下ってゆく風の逃げ道を探すばかりでそこに自明を見出す強度があっただろうか?

みんなが無意味な意味をその手に載せて、暮れゆく街の断末魔に聴こえる喧騒を駆け抜けてゆくとき、僕もまた大量の空き缶を抱きしめて寒い部屋で震えていた  その缶の一つ一つには日付が刻印されている  消費期限は切れていた

発煙筒を両手に持って、それを闇に掲げて言葉にもならない叫びを上げながら誰もいなくなった街をひたすら走っていた  誰が僕の叫びを聞いたか?  打ち捨てられた倉庫に並ぶ段ボールが静寂の中にうるさく重なり合って、街はそれに似ていた  未来はとても苦かった  過去はすごく腐っていた  僕が「あ」と言ったとき君は何て返すだろう?  僕の「あ」と君の未だ見ぬ返事の間にだけ光がある  それはとてつもなく大きくて、すべての色彩を抱いたまま僕の心臓を素手で掴んで無理矢理に揺さぶりかけて動かしてくるんだよ

 

昨日は青くなれなかった

昨日は青くなれなかった

 

ひどく削られてちびた鉛筆の先端が、夜と朝の境界線を目隠ししたままでひた走る。目を閉じているはずなのに、いつか未来の縁からこぼれ落ちた不可能性の予感をふたつの視神経の奥に感じていて  あなたは生きているのか死んでいるのかもわからないとも思っている。

 

 僕の部屋の外では誰もが殺しあっている  あらゆる方法で、その手に何かを感じながら、喉の奥に毛玉を押し込んで、殺したり殺されたりしていて、それはとてもとても幸福なことだと思う  親子が殺しあう  恋人たちが殺しあう  友達同士で殺しあう  先生と生徒が殺しあう  名前も知らない人たちが殺しあう  僕は窓のふちに座って、冬の鋭い隙間風を指先に感じながら、ただそれを見て叫んでいる  僕も仲間に入れてくれと叫んでいる  死ぬことが本当に怖いと思っているのに、僕の肉を素手で引きちぎってくれと叫んでいる  

 

走り去った窓際の静かな断末魔のような光の中で、僕はひたすらに震えている  君が何かを言おうとするまでの数秒の沈黙がチューインガムのように引き延ばされて、今にも断ち切れそうに白く褪せている  まだみぬ言葉を嫌がるように身体をよじらせてそこで遊び続けられたならあなたは生きている   僕はずっとそこに立ち止まるんだ